(6-18-00)
- 6月14日付けのイギリス・タイムズ紙に続いて、イギリス・ガーディアン紙、BBCニュース(英国放送協会)、Yahoo! Newsなどが、輸血拒否に関する方針の変更のニュースを伝えています。
The Guardian
Transfusion rowrocks Jehovah's WitnessesBBC News
Jehovah's Witnesses drop transfusion banYahoo! News UK
Jehovah's Witnesses to accept bloodこの他、日本の読売新聞にタイムズ紙の報道を紹介する記事が出ていますし、アメリカの幾つかのラジオ局がこれを取り上げています。
(読売新聞大阪版6月16日朝刊6面下段)
- これらの報道は見た所、全て最初に報道されたタイムズ紙の内容を伝えるだけで新しい内容は含まれていません。しかし、直接取材していないニュースの問題がここでも明らかで、この件をセンセーショナルの取り上げる余り、かなりの部分に不正確な内容が含まれているようです。たとえば上にコピーした日本の記事で「輸血容認」という表現は、真相を正しく伝えるものではありません。
- ものみの塔協会はこれに対し、直にそのPR専用のウェブサイトでタイムズ紙の記事は誤りであるとするプレスリリース(報道発表)を行いました。不思議なことに、この報道発表は報道関係者に配布された後、一日もたたないうちに協会のPRサイトから除かれており、協会がこの報道を自らの手で更に広めることをしたくない気持ちがうかがわれます。
このプレスリリースでは、今回の通達が今までのエホバの証人の輸血拒否の立場にはなんら変化がないことを強調しています。その上で、今回の通達は自分の意志で輸血を受けその事を悔い改めないエホバの証人は、これまでのように排斥されるのではなく、その行為によってエホバの証人ではなくなることになる、と述べています。従って会衆はそのようなエホバの証人に対して会衆の側から処分をすることはなくなりますが、そのようなエホバの証人が輸血を受けることにより、エホバの証人でなくなるという結果は今までと変わりはないことを強調しています。更にいずれにしても、輸血を受けたエホバの証人がその後悔い改めれば再びエホバの証人として受け入れられる可能性があるとしています。そして、今回の通達は単なる手続き上の変更に過ぎないことを強調しています。
現時点(アメリカ太平洋時間18日午後、日本時間19日午前)では、アメリカの長老でこの手紙を受け取った者は未だにいない模様です。ヨーロッパとアメリカやそれ以外の地域で手紙の発送が別の日にちに行われているのかは今の所わかりません。現時点では、手紙の文章そのものは発表されていません。しかし、今回の報道とそれに対するものみの塔協会の一早い報道発表は多くの現役エホバの証人たちの間に混乱をもたらしています。かなりの証人の最初の反応は、これは全くの嘘である、というものです。エホバの証人の大きな教義の変更が、会衆に知らされる前に報道を通じて知らされることは、エホバの証人の歴史始まって以来なかったことで、そんなことは有り得ないという当然の反応です。しかし、協会の報道発表で確かに協会が輸血に関する方針の変更を長老達に知らせが出たことが確認されると、エホバの証人の反応は様々なようです。大部分は協会の出した報道発表を信用し、これは単なる手続き上の小さな調整に過ぎないと考えるようです。実際、アメリカの長老でこの間の推移を知る人は、正にこの見方をとっています。エホバの証人の教義では、排斥された人間も自ら離れた(断絶した)人間も同じように、エホバに背いた者として他のエホバの証人や家族から絶縁されることには変わりありません。しかし、別のエホバの証人はやはりこれは重大な変更であると感じざるを得ないようです。エホバの証人が犯す罪には幾つかの分類がありますが、「排斥に当たる事項」はその中で最も重い罪にあたり、これまで輸血を受けることは、殺人、盗み、政治に参加すること、背教、性的不品行、などと並ぶ最悪の悪行でした。今回輸血がこの中から外されることは、やはりそれだけ罪の重さが減ったとしか考えられないでしょう。
医療の現場から考えると、これは確かに手続き上の変更ですが、それでもこの変更は非常に大きな意味を持ちます。特にアメリカの医療現場では、近年医療上の秘密(プライバシー)の厳重な保護が法的に確立され、どの患者がどのような治療を受けたかは患者と医療従事者以外には、たとえ家族友人であっても、患者の了承なしには、知られないような体制がととのって来たからです。このことは、たとえエホバの証人の患者が輸血を受けても、少なくともその時点でその事実を知るのは患者と医療チームだけで、会衆の他のエホバの証人は一切知らないはずですし、法的には知ってはならないことになっています。そのような体制で、どうして会衆がこのエホバの証人を、輸血を受けて悔い改めない患者として「断絶した」と見なすことができるでしょうか。これは審理委員会にかけない限り知るのは不可能な事です。従って、アメリカのエホバの証人の中でも現在の医療体制の内部を知るものは、この変更をよく考えて見ればエホバの証人が輸血を受けられる可能性は大幅に増えたと結論しています。一方、医療上の秘密保護を法律体系の中でアメリカほど確立していない国々では(日本はその中に入るかもしれませんが)、一人のエホバの証人の患者が輸血を受ければ、その周りの近所、親戚、の話題となり、到底秘密を保持することは困難であり、確かに実質的な違いは少ないかもしれません。
現時点では、この報道を知る多くのエホバの証人は混乱に陥っており、近いうちに協会が一般のエホバの証人に対しても何らかの通達を出さざるを得ない状態になっているようで、今後の発展に注目していきたいと思います。